このたびは坪井病院のホームページにご訪問いただきありがとうございます。理事長として一言ご挨拶いたします。
平成26年4月に当財団は「財団法人」から「一般財団法人」に移行しました。従いまして現在は名称が「一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院」となっています。
当財団は、地域住民の方々に、がんを中心とした様々な病気の診断、治療、予防を目的として前理事長の故坪井榮孝が設立した財団です。
「慈山会」という名前は、当財団の基本財産を提供してくれた私の曾祖父、故坪井栄作の院号「慈山院」からとったものです。
坪井病院はがんの専門病院で地域がん診療連携拠点病院でもあります。また福島県内で最初に認可を受けたホスピスを有しています。一方、人間ドック、一般検診なども行っており高血圧、糖尿病、高脂血症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病や禁煙外来など、がん以外の慢性疾患の診療を行っています。
近年は県内初の「薬剤師外来」、リンパ浮腫をケアする「リンパ浮腫外来」などの特殊外来が開設され、今後「口腔ケア外来」「病理外来」などの開設を予定しています。
また平成26年8月に在宅ケアとリハビリテーションを目的とした「ケアステーションあすなろ」がオープンしました。
地域住民の方々への様々な医療情報を提供するため定期的に「あすなろ健康講座」を開催し、また毎年の世界禁煙デーにあわせた「たばこと健康に関する医療講演会」や肺の日にあわせた「肺の日記念市民公開講座」を行っています。
さらに県内の各医療機関と連携を密にするために年2回「坪井病院地域医療連携フォーラム」を、がんの最新情報提供のために「がん治療懇話会」を開催しています。
住民の皆さんに安全かつ安心の医療を提供するとともに、がん専門病院たる基本理念は継続し、より幅広い健康管理のできる病院を目指したいと思います。
また、患者さんに安心していただくためには、医療従事者の側の心にゆとりがないといけません。「良い医療は良いスタッフによる良い組織から生まれる。」が私のモットーの一つです。経営者としては職員も大事にし、職場環境の充実にも気をつけていきたいと思います。
今後とも地域の皆さんと様々な病気の克服のために立ち向かう坪井病院をよろしくお願いいたします。
理事長略歴
坪井永保(つぼい えいやす)
東京都出身
日本医科大学医学部卒業
1987年虎の門病院内科レジデント
1998年(平成10年)米国ボストンに留学。
虎の門病院呼吸器センター内科医長などを経て
2007年(平成19年)財団法人慈山会医学研究所副理事長兼、付属坪井病院副院長となる。
2011年(平成23年)6月より財団法人慈山会医学研究所理事長
2014年(平成26年)4月より一般財団法人慈山会医学研究所理事長。現在に至る。
医学博士。
がんにかかる国民は増加の一途をたどり、現在では2人に1人が生涯のうちに癌にかかっています。福島県でも状況は同じであり、県民の疾病による死亡の最大の原因になっています。このような厳しい状況の打開を目指して平成26年4月1日がんの予防の推進、がんの早期発見の推進、がん医療の水準の向上、緩和ケアの充実、がんに関する正しい知識の普及などを柱とした「福島県がん対策の推進に関する条例」が施行されました。これらはまさに坪井病院創建時からの1.予防啓発、2.早期発見、3.集学的治療、4.ホスピスケアを4本の柱とする基本方針にほかなりません。坪井病院は、これからも福島県におけるがん対策の推進に貢献すべくがん診療拠点連携病院の要としてこれらの施策を今まで以上に実践していく所存です。
しかしながら、平成23年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の爪痕は大きく、病院は倒壊したところもあり、医療スタッフが流出し、また、多くの方々が住む家を追われ、仕事を失い、家族が離散する状況では、がん診療の維持・実践は容易なことではありませんでした。このような状況でも坪井病院では、東北・関東を中心に内科、外科、消化器内科、消化器外科、大腸・肛門外科、呼吸器内科、呼吸器外科、乳腺外科、婦人科、放射線科、麻酔科、病理診断科、緩和ケア内科の優秀なスタッフを懸命に揃えて、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がんの5大癌を中心として最新の治療を提供し続けております。
ここ数年の坪井病院におけるがん診療の変革としては、外科では内視鏡手術の導入・実践でありました。ハイビジョンカメラを駆使した早期肺がんに対する胸腔鏡下手術、早期胃がん・食道がん・大腸がんに対する腹腔鏡下手術は、安全を重視して行われており、低侵襲なため早期社会復帰を可能にしています。内科では、進行がんに対しては組織型や遺伝子変異解析を元にした個別化治療を行い、化学療法も入院から外来への移行を積極的に行っています。また、今後はがん免疫療法が導入されます。また、リハビリテーションセンターを開設し、呼吸器・がん・術後リハビリテーションを積極的に行っています。術前の呼吸機能訓練から手術や病気により落ちた機能・体力の回復に大きな威力を発揮しています。このような取り組みは、がんになっても仕事を続けることを可能にし、社会生活の安定に寄与しています。さらに平成27年には、薬剤師外来、リンパ浮腫外来を開設し、平成28年には病理外来の設置を予定しており、注目を集めています。
また、予防啓発には今まで以上に力を注いでおります。坪井病院地域医療連携フォーラムを開催して、近隣の地域医療を担っている方々をお招きして坪井病院における最新のがん診療を紹介し、医療情報を交換して厚みのある連携の構築に努めています。また、一般向けのラジオやテレビ講演、院外報「あすなろ」の発行、あすなろ健康講座や肺の日記念市民健康フォーラム、中学校などにおいて喫煙の害に関する講演を通して、がんに対する正しい知識の普及と予防活動に取り組んでいます。
また、がん診療にとどまらず、呼吸器内科では、肺気腫や肺線維症、睡眠時無呼吸症候群の治療まで併せて行っています。外科では、気胸や膿胸に対する胸腔鏡下手術も積極的に行っています。また、郡山市の外科二次救急当番に参加し、医師不足で疲弊する救急医療に資する覚悟です。
坪井病院は、生命の尊厳と人間愛を基調理念として、病気を抱えておられる患者さんと家族に寄り添い、サポートして、安心して治療に立ち向かえるように力を尽くします。福島県にいても東京に勝るとも劣らない医療を提供していきます。
ぜひ、悩みを抱えこまないで坪井病院の門をまずは叩いてみてください。